食べるって何?

毎日の食事、楽しんでいますか?
その食事がどのようにしてあなたの前に届いたのか、考えたことはありますか?


日本では、コンビニやスーパーに行けば、欲しいものがすぐに手に入ります。さらに、インターネットを使えば、遠く離れた国の食材や珍しい料理も簡単に手に入れることができます。
便利さと豊富な選択肢に囲まれた私たちの日常ですが、少し前まで、今70歳の方々が子供の頃は、たくさんの食べ物があるわけではありませんでした。例えば、トマト栽培が広まったのは明治時代からですが、おいしい生食用のトマト(桃太郎品種)が全国に普及したのは1980年代後半です。生のマグロやウニも一般のスーパーに並びはじめたのも1980年代で、それまでは特別な日に特別な料理店でしか味わえない高級品でした。好きなものを好きな時に食べられるようになったのは、実はつい最近のことです。

こうして豊富な食材が手に入るようになったおかげで、私たちの身体は強くなり、生活も豊かになりました。

しかし、「食べる」選択肢が増える一方で、地元の食材や旬の食材を食べる機会は減りつつあります。
食の豊かさの点からすると、それは非常にもったいないことです。

旬の食材や地元の食材には、その季節や地域に合わせた栄養素がたっぷり詰まっているからです。たとえば、東北の秋に食べられる、芋の子汁の主役の里芋。それに含まれる成分「ムチレージ」は、気管や胃腸の炎症を防ぎ、季節の変わり目でひきやすい、風邪の予防に効果的です。また、寒い冬においしくなる、ほうれん草や小松菜は、葉酸を豊富に含みますが、体を温めるために活発になる血流を支え、貧血予防にも役立つ成分です。このように旬の食材を摂ることで、体が季節に適応し、健康に過ごす助けになるのです。


私たちは「人生100年時代」を迎え、もし100歳まで毎日3回の食事を続けるとすれば、一生のうちに約109,500回も「食べる」ことになります。その一つひとつが、あなたの身体をつくっています。そして、豊かさを感じる最も身近な時間でもあります。だからこそ、今日の「食べること」を大切に選んで、より豊かな食事を楽しみたいものです。


このプロジェクトでは、ゲームや調理実習を通して「食べる」ことについて考える機会を提供します。

毎日の食事、どんなふうに楽しんでいますか? 

ぜひ、私の「食べる」楽しみをみんなと話しましょう!


※記事の訂正について(11/8)
本文に「〜芋の子汁の主役の里芋。それに含まれる成分『ムチン』は、〜」と記載しておりましたが、この箇所について、サイトを閲覧された方からご指摘をいただきました。
以前は、生物のもつヌルヌル成分を「ムチン」と総称していましたが、近年の研究により、動物由来のものを「ムチン」、植物由来のものを「ムチレージ」と呼び、区別されているようです。
以前の知識に基づいて記事を書いていたため、今回ご指摘をいただき認識を改めました。お礼申し上げますとともに、記事をご覧いただいている皆様とも共有させていただきます。